有栖川リドルのイギリス生活〜世界のどこにいても謎解きがしたい〜

謎解き部UK支部・有栖川リドルによる、脱出ゲーム・推理ゲームの活動記録。イギリス生活の日記・雑記。

東京イマーシブフォートの先駆け?ニューヨークで没入型演劇 "Sleep No More" を観てきた感想

ごきげんよう、謎解き部UK支部の有栖川リドルです。

みなさん今日も謎を解いていますか?

東京イマーシブフォートや、SCRAPが手がけるリアル脱出ゲームの台頭から、日本でだいぶ「没入型体験(イマーシブ)イベント」が人気になったという印象があります。

今回は、有栖川のイマーシブ原体験(?)について書いてみます。

ニューヨークの常設シアターにて上演中の、『Sleep No More』という、体験型の演劇です。

2014年の記憶を頼りに書きますので、記憶違いがあったり、仕組みが変わっていたり、2024年現在の状況と違うことがあるかもしれません。ご了承ください。

※2024年1月にニューヨーク公演は終了したそうです・・・悲しい・・・また行きたかった。

有栖川はSleep No Moreきっかけで、イギリスに移住したと言っても過言ではありません。

移住理由についてはこちらの記事に書きました。

catharsism.hatenablog.com

イマーシブ・シアター(没入型演劇)ってなに?

「イマーシブってなんやねん」と思った方は、こちらの記事をご覧ください。

catharsism.hatenablog.com

「どんなものか知っているよ」という方は、下に進んでください。↓

『Sleep No More』は、演劇の新しい形

2014年、友人たちとニューヨークへ旅行に行った。

旅の計画を立てているときに、幼なじみから「ニューヨークに行くなら、Sleep No Moreに行け!!」とオススメされた。

話を聞いてみると、何やらよくわからんのだが、面白そうな気配しかしない。

さっそく旅の友たちにプレゼンして、参加のお伺いをたてる。

説明するのが難しい謎のイベントであるうえ、チケットは決して安価ではないというのに、奇特な友人たちは「いいよ、行こう」と快諾してくれた。

ノリの良い友だちでありがたい。

※ここから先、上演内容に具体的に触れます。

大丈夫な方だけ、読み進めてください。

ネタバレしたくない方は、公式トレーラーだけ見ていってね。

youtu.be

基本情報1:セリフのない劇

『Sleep No More』は演劇作品であるが、セリフがない。ノンバーバルな劇である。

そのため、英語がわからなくても問題ない。

言葉の壁がないから、世界中の客を集められるのだ。

一方、役者にとってはそれが制約になる。

表情、行動、しぐさ+コンテンポラリーダンスだけで、キャラクターやストーリーを表現しなければならない。

役者のプロフィールを見ると、「俳優」ではなく「ダンサー」を名乗る人が多い。

ハリウッドスターたちが火付け役となり、次第に日本の役者も訪れるようになった。

確かに、同業者からすると「言葉が封じられた状態で演技をする役者」を見るのは、演技の勉強になるでしょう。

基本情報2:あらすじ

ストーリーはシェイクスピアの悲劇『マクベスが基になっており、そこにスパイスとしてノワール映画を混ぜた、という雰囲気。

仄暗く、どこか妖しげだ。

とにかく登場人物が多いので、予習をおすすめします。(どんなキャラクターがいて、どんな展開なのか)

基本情報3:ステージの規模がハリウッド映画のセット

ニューヨークのSOHO(ソーホー)エリアに、The McKittrick Hotelというビルがあります。

このビル一棟すべてが劇のステージです。(B1Fから5Fまであるらしい)

ホテルの各フロア、各部屋がステージです。

※ちょっと意味がわからないと思うのですが、このまま読み進めてください。

ビル外観はシンプルなので、本当にここであってる?と不安になった。

おそらく設定上の"ホテル"なだけで、外観はふつうのオフィスビル

でも開場時間に近づくと、観客と思われる人たちが、ビルの前にわらわら集まってきたので安心した。

開場時間になると怪しげなビルの扉が開き、建物内に入れてもらえます。

中は完全にゴシックな感じのホテル。

入ってすぐにレセプションとクロークがあり、ここで荷物を預けます。

このとき「この先の部屋はかなり暗くなっている。いざというとき、手ぶらで走り回れることがあるかもしれない。落とし物をしないように、服のポケットには何も入れるな」とアドバイスされます。

走り回る?????観客(オレたち)が????

※ちょっと意味がわからないと思うのですが、このまま読み進めてください。

荷物を預けると、一人ひとりに白い仮面&トランプのカード1枚が渡されます。

さあ、これで没入の準備ができました!

基本情報4:観客が役者を追いかける、新しい観劇方法

基本情報3で「ホテルの各フロア・各部屋がステージだ」と言いましたが、上演時間になると何が起こると思いますか?

いろんな場所で、同時多発的に違う劇がスタートするんです。

マクベスの登場人物の数だけ、ストーリーがある。

各キャラクターは、ホテル中の各フロア・各部屋に散らばっており、一斉に演技を始めます。

脇役にだって、メインの話に繋がる人生があり、エピソードがあるわけですから。

同じ時間軸の中で、キャラクターごとの違う物語が、クライマックスに向けて進行していきます。

ーーー同時多発劇を観客はどう観劇するのでしょう?

そう、「気になるキャラクターを物理的に追いかけて、物語を汲み取る」のです。

観客は時に走り、うす暗い舞台セット(ホテル)の中を歩き回る必要がある。

だからレセプションで「服のポケットに何も入れるな」とアドバイスされたんですね。

ーーーでも違う劇が同時多発するのなら、ひとりのキャラクターだけ追っていたら、他の話が観られないのでは?

はい、そのための措置はちゃんと用意されています。

Sleep No More体験記

イギリスの劇団Punchdrunkが生んだ、天才的な新しい鑑賞システム"没入型演劇"。

上演ルール

参加者は、上演中はずっと白い仮面をつけること。

参加者は、上演中は喋ってはいけない。

参加者は、キャストの妨げになる行動をしてはいけない。

参加者は、許可されたフロア・部屋を自由に歩き回り、小道具を触って調べることができる。

参加者は、キャストの後を追いかけて、ストーリーを辿ることができる。

同演目の上演は複数回行われる。

受付〜観劇までの流れ

クロークを抜けると、白い仮面をつけるように促されます。

ここからSleep No Moreの世界がスタート。

真っ暗で何も見えない通路を、仮面をつけたまま歩いたのを覚えています。

明るいところに出ると、確かバーみたいな空間に辿り着いた気がする。

そこがスタート地点かつゴール地点となり、上演が終わると戻ってくる場所となる。

上演中に観客が疲れたら、バーで休むことも可能。

キャストがどこからか現れ、上演中のルールについて説明があります。

キャストに誘われ、観客はエレベーターに乗り、上の階に連れて行かれます。

キャストの指示で特定の階で降りるのですが、クロークで渡されたトランプが鍵になります。

人によって渡されるカードの柄がまちまちなのですが、実はランダムにグループ分けされていたのです。

一緒に参加した友達とは、降りる階が違うので別れることに。

まさかの!一人になってしまい、すごく不安でした。

上演をMAX3回観られる

同じ演目がMAX3ループ上演されます。(観客の予約した時間による)

有栖川グループの場合、初回の時間枠を予約していたので、続けて3公演みることができました。(1公演あたり1時間くらい)

クライマックスのシーンが終わると、役者たちは舞台セットから姿をくらまし、観客だけが残されます。

上演開始のBGMが流れ始めると、舞台セットに役者たちが現れ、同じ演目をリピート演技しはじめます。

観客は、今度は違うストーリーラインを追うことができるのです!

自分で「知りたい物語」を選べるのが面白い。

分岐のあるノベルホラーゲームをプレイしているような、ドキドキ感。

3公演みられたとはいえ、また別のストーリーを目撃したくなる。

すごい、イマーシブシアターのシステム・・・!

主催側は自然にリピーター客を増やせるわけだ。

予算はいくら?豪華な舞台セット

ホテルまるまる舞台になるというのは、度肝を抜かされました。

そしてデザインが良い!!大変に有栖川好みでして、ゴシック感があります。

ディズニーランドのホーンテッド・マンションをイメージしていただきたいのですが、間取りが似ていました。ゴシック風お屋敷の間取りあるある。

傾斜が急な、木でできた大きな階段。

ボールルーム(舞踏室)のある、大広間。(役者とダンスする観客もいた)

家主のものと思われる豪勢な書斎。(引き出しの中や、書類をあさって読んでOK)

霧けぶる墓地。(室内のはずなのに、そこは外だった。土と芝生を踏み締める感触があり、墓地が作られていた。)

室内は「その時代の明るさ」を再現しているのか、目を凝らさないと見えないくらい暗い。

燭台のあかり、ランプのあかりで、ぼんやりと誰かの顔が見える程度の明るさ。

日本でイマーシブ・シアターは再現できるのか

有栖川はまだ東京イマーシブフォートに行けていないので、具体的に比較ができません。残念。

ですが、東京イマーシブフォートの運営会社「刀社グループ」(森岡毅氏)は、イギリスの劇団発祥のイベントを参考にしたと言っているので、絶対Sleep No Moreじゃん!Punchdrunk(Sleep No Moreの運営会社)じゃん、と思っています。

再現条件1: 舞台セットにコストを惜しむべからず

本家がハリウッド映画並みといいますか。

ビル一棟買いして、貴族のお屋敷やら商店やら墓地やらを作り上げてしまっている。

観客が足を踏み入れれば、否が応でも物語に引きずり込まれてしまう。

東京イマーシブフォートは、お台場ビーナスフォートの跡地を開発したのは、うまい空き地を見つけたな、と感心しました。

ビーナスフォート自体が元々、天井には空の絵が描かれていたり、石畳になっていたり、イタリア風(テーマパーク風)になっていたので、それをそのまま活かせますもんね。

イチから舞台セットを作る必要がなく、少しリフォームする程度で済んだのではないでしょうか。

Punchdrunkの条件に近いものをクリアしている気がします。

再現条件2: 同時多発ストーリーとセリフについて

東京イマーシブフォートのトレーラーや噂を見る限り、ふつうに役者はセリフがありそうですね。(なんなら観客と喋っている)

演劇というよりは、観客が謎解きをするのがメインのイベントとなっていそう。

ストーリーは、謎解きゲームとしての分岐は発生するのかもしれないですが、同時多発には起きていなさそう?

謎解きゲームのセットが豪華版みたいなイメージなのでしょうか。

また、インバウンドの客を狙っていくという戦略を掲げていた気がしたのですが(うろ覚え)、セリフある前提のイベントということは翻訳版をリリースするのかな。

 

有栖川は、役になりきった人に話しかけられると、素で応えればいいのか、世界観にあわせて応えればいいのかわからない+恥ずかしいという気持ちになります。

ディズニーランドやテーマのある脱出ゲームとか、それで戸惑いがち。

恥ずかしくない人は、東京イマーシブフォートをきっと楽しめるのだろうな。

海外だと、役になりきった人に合わせて演じられるんですけど、日本だと恥ずかしくなっちゃう。なんだろうこの違い。

イマーシブ"シアター"ではなさそう

勝手な予想。

Punchdrunkのシステムを全てコピーして再現することがゴールではない。(オリジナル性なくなってしまうから)

システムを参考にした場合、「ディズニーランドのように世界観を表現する要員が案内する」「舞台セットの常設施設を作る」部分を再現し、東京イマーシブフォートができたのかな。

役者の演じる没入型演劇ではなく、(ディズニー風)キャストのいる没入型謎解きを目指したのだと予想します。

まとめ

2024年1月にニューヨークのロングラン上演がついに終了したということなので、誰にも「行ってみて」と勧めることができなくなってしまった!かなしみ。

日本で代替イベントがないので、それを勧めることもできない。もどかしい。

(有栖川的に、東京イマーシブフォートは別物のイベントだと思っている。)

謎解きや脱出ゲームとはジャンルの違う、衝撃的な面白さがイマーシブ・シアターだ。

イギリス・ロンドンでは、Punchdrunkが新作を毎年のようにリリースしているので、できるだけ参加するようにしています。

また新作に参加したときはレポを書きたい。

【イギリスの風物詩】ヨーロッパ版・紅白歌合戦『ユーロビジョン・ソング・コンテスト 2024』が面白い

ごきげんよう、謎解き部UK支部の有栖川リドルです。

みなさん、今日も謎を解いていますか?

ABBA(アバ)、セリーヌ・ディオン、Måneskin(マネスキン)が世界中でブレイクするきっかけとなった、歌番組がある。

−−−−"ユーロビジョン"をご存知か?

2024年5月11日(土)、ユーロビジョン生放送の日。

ロンドンは快晴で真夏日

みんな「夏が来た!」「オーロラが見える!」「ユーロビジョン歌謡祭が開催される!」と、3本立てで大盛り上がりでした。(有栖川は爆睡していてオーロラを見逃した。)

今回はイギリスの夏の訪れを告げる(?)、ヨーロッパの歌謡祭『ユーロビジョン』についてお話しします。

 

夏に浮かれるイギリス人についてはこちら↓

catharsism.hatenablog.com

ヨーロッパ各国が集う!歌謡祭『ユーロビジョン』

この時期になると、ローカルの人たちは「もうすぐユーロビジョンだね」と口にする。

在英日本人のみなさんも、開催を楽しみにしている人が多い。

だって内容が濃すぎて、めちゃオモロなんです。

ユーロビジョンって何?

ユーロビジョン・ソング・コンテスト』は、日本でいうとM-1紅白歌合戦をミックスしたような、オモロ歌謡祭です。

主にヨーロッパ各国が一カ国につき1組を出場させ、1位を競います。

M-1システムのように予選・準決勝が行われ、決勝戦を世界中に生放送します。

毎年約2億人が試聴するそうですが、有栖川もその中の一人になりました。

投票システムは、一般票と各国の審査員票がある。

トータルが一番多い国が勝ち。

ユーロビジョンによって、世界的ブレイクを果たすミュージシャンが多数生まれています。

最近だと、2021年優勝のMåneskin(マネスキン)が記憶に新しい。

日本でも人気でびっくりしました!

youtu.be

好きなところ①歌謡祭だけど、めちゃくちゃ政治が絡む

毎年ユーロビジョンの投票結果には、世界情勢や政治が絡みます。

Måneskin(マネスキン)優勝の2021年は、前年の「EU離脱ブレグジット」の影響で、ヨーロッパ中から嫌われたイギリスは、なんとゼロ票の最下位!!!!

2022年は、戦禍のウクライナが当然優勝でした。

2024年は、イスラエルが出場し賛否両論。

イスラエルのシンガーは素晴らしい歌声でしたが、有栖川たち視聴組は思わずブーイングしまくった。Boooooo, stop the war!!

でも、意外に投票数が多くて驚いた。

2024年優勝のスイス代表Nemoが、優勝スピーチで平和への想いを伝えており、素晴らしかった。

パフォーマンスも圧倒的で、歌唱力、身体能力、表現力が他のアーティストより際立っていた。納得の優勝!おめでとう!

youtu.be

好きなところ②ネタ枠(?)のオモロ・アーティストが登場する

毎年必ず何組か、ぶっ飛んだコミック・バンドが出てくる。

2024年に衝撃を与えたのが、フィンランドから来たWindows95man!!

名前からして最高。

歌い上げる系ボーカルと、破天荒パフォーマー(サムネ)の二人組です。

とにかく明るい安村システムで、「安心してください、履いてないですよ(前バリはある)」のパフォーマンスを繰り広げた。

youtu.be

イギリス人ナレーターが実況で「So stupid! hahahaでも、パブリック票は簡単に集められそう」と言ってて笑った。

みんなこういうのを待っているもんね。

あれ、2019年に日本ツアーで来日してたっぽい。

好きなところ③曲調が20年古く、個性が強すぎ

全盛期のジェニファー・ロペスを真似してるアーティスト、エヴァネッセンスのようなメタルバンド、マリリン・マンソンの女性版みたいなゴスガール、シンセサイザーサウンド、ディスコ感のあるダンス・・・。

これがY2Kってコト?と困惑するほど、全体的に楽曲が80年代〜2000年初期をさまよっている。

もちろん、2024年らしい曲もあるのですが、時代を逆行する曲をあえて持ってきた人が多い印象。

各アーティストの個性が濃くて濃くて、クレイジー要素が多め。

舞台『千と千尋の神隠し』ロンドン公演を観てきた感想

ごきげんよう。謎解き部UK支部の有栖川リドルです。

みなさん、今日も謎を解いていますか?

 

2024年5月、舞台『千と千尋の神隠し』ロンドン公演を観てきました!ようこそロンドンへ!待ってたよ!!!

最前列ど真ん中の席で観ることができました。

役者の表情がハッキリ見えて、小道具やセットも隅々まで見えて、大満足です。

感動を忘れないうちに、感想を残しておきます。

キャストについて

千尋:橋本環奈

湯婆婆:朴璐美

の日でした。

橋本環奈の輝くヒロイン力

事前アナウンスでは、千尋役が上白石萌音だったのですが、いつの間にか代わっていたみたい。

上白石萌音の演技を見るのを楽しみにしていたので、正直キャスト変更は肩透かしでした。

有栖川の中で、上白石萌音は舞台に強い俳優、橋本環奈はアップで映るTV・映画に強い俳優のイメージがあるからです。

でも、残念な気持ちはありつつも、舞台作品としては満足です。

橋本環奈の「絶対的主人公力(ヒロイン力)」がすごくて、スポットライトが当たっていなくても輝くタイプの人種だ!とオーラを感じました。

朴璐美のベテラン底力

湯婆婆は、あまりにも夏木マリボイスなので、最初は夏木マリ本家だと思っていた。

でも顔や手をよーく見ると、違うかもと思い始める。

セリフに耳をすませると、発声の特徴的に朴璐美だ!と確信を得た。

(アニメオタクあるあるだと思うんですが、声だけで声優がわかることありますよね。アニメでたくさん聴いてきた声なので、発音のクセでわかりました)

声優ではなく、舞台俳優としての朴璐美を見るのは初めて。

夏木マリへのリスペクトを感じる、素晴らしい演技でした。

決して声真似をしているわけではないのですが、ちゃんと"あの湯婆婆"なんですよね。

そして舞台上の演技にふさわしく、全身全霊!

この公演が最後なの?翌日はエネルギー残ってるの?と思うくらいの全力投球。

特に湯婆婆がブチギレるシーンの迫力がすごい。

きっと後方の席でも、そのパワーを感じ取れるでしょう。

一回の公演で3キロは痩せそう。

ひとりひとり言及してませんが、キャストの皆さん、一公演あたりものすごいカロリー消費で演じているので、圧倒される。

彼らの体力はどうなっているんでしょう。

どうかケガのないよう、声を枯らさないよう、無事に公演を終えてほしい。

舞台デザインと演出について

舞台美術、インテリア、装飾が好きな有栖川。

小道具から舞台転換まで、隈なくジロジロ観察できるように、最前列に座りました。至福。

空間マキシマリストな舞台セット

ミニマリストを極めたモダンなデザインが、最近のヨーロッパ演劇ではトレンドのように思います。

一方ジブリ作品は、対局のマキシマリストの美を極めている。

そんな宮﨑駿ワールドを再現するにぴったりな、空間を120%使ったデザインでした。

舞台の縁取りが苔むしていて、朽ちた祠や鳥居が施されている。

幕が降りている状態では、幕に空の絵が投影されていて、幕の中心にはドアがついている。

客席に向かって、ジブリワールドが溢れ出している感じがして、とても良い。

幕が開くと現れるメインステージは、360°回転する床の上に、湯屋が建っている。

湯屋のセットは天井の方まで、空間を余すことなくフルにデザインされていた。

映画の湯屋のビジュアルとは似つかわない。

あくまで舞台セットとして機能性を持たせ、簡易化した湯屋だ。

まるで茶室のようなシンプルさ。

だが回転させ、少し小道具を変えることで、釜爺のボイラー室へつながる外階段になったり、豪華絢爛な客室になったり、従業員の居住スペースになったり、湯屋への入口になったりするのだ。

一つのセットがこんなに七変化するの、初めて観た!

舞台セットのデザインも、いちいち天才なんだよなあ。

演出の工夫と、キャストの演技と、観客のイマジネーションに委ねることで、こんなに映画を忠実に再現できるんだ!と感動する舞台デザインだった。

ジブリ飯へのリスペクト

ジブリ飯というアイコンは、日本に限らず、世界にも浸透している。

それを忠実に舞台の小道具にしていた。

湯屋で神々に提供する食事も、銭婆の家で出てくるケーキも、ハクが千尋にあげるオニギリも、千尋の両親が豚になる屋台飯も、リンさんが千尋にくれる肉まんも、気合いがすごい

観てるこちらも食べたくなる、ジブリ飯の再現であった。

ジブリ飯の魅力をわかっている……。

カオナシがダンサーである意味

日本のオリジナル公演のキャストをみて、なぜ世界的ダンサー・菅原小春をカオナシに起用したのだろう、とずっと思っていました。

その意味が、舞台を観るとわかる。

カオナシ役は、優れたダンサーじゃないと演じられない。

理由①カオナシは顔が無いキャラだから。

常に「あの仮面」を演者はつけなければいけない。

表情で演技することはできません。

理由②カオナシはセリフが無いキャラだから。

「ア…ア…」「エ…」しか喋れない設定なので、セリフに感情を乗せて演じることはできません。

理由③敵か味方かわからない、得体の知れないキャラだから。

憎めないかわいさもあり、不気味さもあるのがカオナシの特徴。

神でも人でもならざる不気味さを表すには、巧みな身体表現が重要です。

(『ガラスの仮面』で月影先生が、「窓から手を出すだけで、幽霊の不気味さを表す」という名演をしていたように。)

そこで「あ!ダンサーに演じさせよう!」とひらめく演出家、天才すぎませんか?

惚れ惚れしちゃうぜ。

そして、ロンドン公演のカオナシ役・山野光がとてもよかった。

コンテンポラリーダンスの動きを取り入れていて、人間の体ってこんなにスムーズに動かせるんだと驚いた。

「人ならざるもの」を表現する動きで、特に好きだったところが2つあります。

①段差を感じさせない、ヌルッとした動き

ステージ上に、一段高くなった台が置いてあるのですが、そこを登るときの動きです。

ふつう段差を登るとき、頭の位置が上にピョコッと上がるじゃないですか。

それを山野光は、頭の位置が変わらないようにし、いつの間にか段差を登っている状態に見せる。

「人外の動きを表現しているんだ!」と気づいて興奮してしまった。

②予想もつかない、ギュンッとした動き

フィギュアスケートのジャンプする前の体勢をとり、まるで磁石に引っ張られてしまったかのように、脚の方からギュイーンと横に移動していったのが良かった。

少しコミカルな動きに見えるようで、会場からは笑いが起きていたけど、笑わせる意図があったかは不明。

話は逸れるが、カオナシが初セリフ(?)の「ア…ア…」を発するところで、会場から笑いが起きた。そんな笑うところでもない気がするのだけど、日本でもそうなんでしょうか。

カオナシはコミュ症の俺、みたいなネットミームを見かけたことがあるのと、

海外公演で見ると「英語を話せず言葉に詰まる人が、嘲笑されている」図と重なってしまったのとで、笑われるカオナシがかわいそうになった。

遠近法の演出がお見事

好きな演出ナンバーワンが、空間の遠近感(高低差?)を表すところです。

・湯婆婆が鳥の形になって空を飛ぶシーン

長い棒のついた鳥のパペットを人間が操り、下からライトで湯婆婆を照らすことで、映画のあの不気味さを表しています。

・河の神が「よきかな」と満足して飛んでいくシーン

河の神が大釜から飛び出すときは、新体操のリボンみたいなギミックで、人間がパペットを操り、ひらひら舞う竜の体を表現します。

そして出口から飛び出ていくときは、ステージから二階席に向かって、ミニサイズになった河の神パペットがジェットコースター並みの速さで飛んでいきます。良い再現〜!

・ハクが龍の姿で紙の鳥に襲われているシーン

河の神同様のギミックで、ひらひらパペットハク竜(ミニ)が紙の鳥と飛び回るのですが、千尋の方に飛び込むタイミングで、ハク竜(デカ)に入れ替わります。

中華街のパフォーマンスで見る龍みたいな大きさ。

千尋が橋の上から電車を見下ろすシーン

ステージの床を、ラジコン操作してるようなオモチャの電車が走ってきます。

小さいものを使うことで、千尋がいるのが高いところで、かなり下方を電車が走る様子を表しています。

パペットの表現は無限大

・湯婆婆の火を吐いて怒るシーン

普段は演者が、人間の頭部サイズで演じていますが、湯婆婆の恐ろしさを表すシーンでは、パペットによるデカ頭部を使います。

顔の各パーツを演者一人ひとりが操るので、チームワークが重要。

ものすごく練習したことが伺えました。

カオナシが肥大化して大きな口ができるシーン

湯婆婆のデカ頭部と同様に、一人ひとりの演者の集合体が、デカカオナシを構成します。

パクリと食べる口の不気味さが良く表されていたし、カオナシデトックスして、元のサイズに戻るギミックにも有効なので、かなりよく考えられた演出です。

・ハク竜がボイラー室で苦しみもがくシーン

演者の操縦がお見事すぎて、本当に苦しんでいるハク竜がそこにいた……。

繊細な動きを操れるの、すごいな。

千尋がハク竜にまたがるシーン

リボンみたいなヒラヒラのパペットの他に、輪切りパペットもあった。

このシーンでは、演者に肩車した状態の千尋を、輪切りパペットで挟むことで、またがっているように見せていた。賢い演出!

舞台脚本の補填のすばらしさ

基本的にすべてが映画に忠実ですが、ところどころ補填されたセリフがあります。

確かに、映画だと言葉足らずだったかも、と思えるところを、説明的にならないように追加しています。

例えば、千尋が番台に薬湯の札をもらいに行くところ。

映画では、湯女がお客様の名前だけ言ったら、番台が薬湯の名称だけ返す、というセリフ回しになっている。

だが、舞台では「お客様ごとに好みの薬湯があり、常連客にはいつもの札を渡している」とわかる、セリフ補填があった。

海外の人から見たらどうなの?

演劇の本場イギリス・ウェストエンドで公演すること、その期待に応えるクオリティに仕上げることの、重さを考えてみる。

客層について

中国人、韓国人、日本人ら東アジア人は言わずもがなですが、それよりもローカルの人の方が多いように感じました。

子連れファミリーより、大人だけで来ている人も多い。

これは驚くべきことです。

パペットを使ったキッズ向けの劇というより、芸術的な劇として認識されている。

これは、演出家ジョン・ケアードが賞を取った著名なイギリス人だからでしょう。

ローカルの観客にとって、キャストが(日本の)有名人かは、ぶっちゃけ知る由もない。

演出家の名前を信頼して、劇場に足を運んだのだと思います。(+ハヤオ・ミヤザキのジブリブランドの力。)

英語字幕の表示

全編日本語のセリフなので、海外公演では字幕の手配が欠かせない。

舞台の両脇にスクリーンがあり、英訳されたセリフが表示される。

ステージ見つつ、字幕スクリーンをみるのに、日本語ネイティブじゃない人たちは、苦労していた。

席が舞台に近ければ近いほど、テニスの試合を観ているのか?というくらい、首を左右交互にふる必要があり、気の毒だった。

有栖川の周りのローカルの人は、休憩時間のときに「字幕を見るのが疲れる」とこぼしていた。

あと、字幕見てる人と日本語わかる人で、笑いの時差が生まれる。

例えば釜爺が千尋のことを「わしの…孫だ」と言うところ。

「わしの…」を発声しているころ、すでに字幕はフルセンテンスのセリフを表示しており、英語組から笑いが起きる。

ワンテンポ遅れて、「…孫だ」まで聞き終えた日本語わかる人たちから笑いが起きる。

言語の違いによる、笑いの時差おもろ!

そして時にそれは、演者を戸惑わせそうだなと思った。

演者は「今!ここでドッカーンとウケるはず」と笑いの波を予想しながら、セリフを言うと思う。

それがピタリとハマれば、気持ちいい。

演者はノッてくるわけだ。

だが、自分のリズムとズレた反応が来ると、その後の演技の微調整が必要そう。

役者のみなさん、これからどう海外公演のギャップに順応していくのでしょうか。それも楽しみ。

舞台挨拶も日本語

カーテンコールの本当の終わりに、橋本環奈が「ありがとうございました!!!」と日本語で元気に叫ぶのだが、ローカルのお客さん、絶対に理解していない反応だったぞ。

シーン(なんて言ったんだ??)……パチパチ👏(よくわからんけど拍手しとこ)

みたいな時差バラつき拍手。

せめてそこは「サンキュー!」の方が伝わったのでは。

たぶんローカルの人の耳で理解できる日本語は、英語訛りのアリガトゴジャマスくらいなので。

ネイティブな「ありがとうございます」は、わからなかったんだろうな。

映画版を観たことがある人向けの舞台

おそらく、映画の内容を知らずに、初見で舞台を観ると、ストーリーや状況を理解するのが難しいと思う。

宮﨑駿の聖典を鬼リスペクトし、演劇作品として完全再現してみたのが、この作品である。

映画を観た人は「あのシーンをこう表現したんだ!」と、その変換技術に唸ること間違いなし。

でも初見だとしたら、たぶん下記のシーンがピンとこない。

千尋が息を止めて橋を渡るシーン

簡易版セットのため、湯屋のシンボル的な赤い太鼓橋は、デザインから省かれている。

イマジネーションで橋を渡るところを補わなくてはいけない。

人によっては、ただの道を息を止めて歩いていると思ってしまいそう。

千尋がボイラー室に行くため、長い階段を降りるシーン

足を滑らせたり、階段を踏み外したり、手すりのない崖っぷちのなが〜い階段を渡らなくてはいけないのだが、簡易セットだと、ふつうの階段である。

たいへんな道を歩いていることを表現するのは、完全に役者の技量に任されている。

初見の人は「千尋は高所恐怖症で、ふつうの階段もはしごも怖いのか」と勘違いしそう。

千尋がハクを助けるために、最上階の湯婆婆の部屋に行くシーン

舞台上のなんてことないハシゴを、なぜ大変そうに上るの?となりそう。

海鳥を飛ばして、いかに高いところにあるかを表現してはいる。(映画にも似たカットがある)

宮﨑駿のすばらしさ再発見

舞台版で『千と千尋の神隠し』を観て、宮﨑駿のアニメーションがない分、彼のプロットと演出に集中することができた。

完璧なボーイミーツガール物語

「ひと夏の不思議な冒険」で、千尋は精神的に成長する。

ミステリアスな美少年に助けられ、過去に出会っているという、記憶の謎を解いていく。

「その川の名前はね、コハク川。あなたの本当の名はコハク川」

はーーーーー!記憶を手繰り寄せる、こんなキラキラした名シーンを、あのお髭メガネのおじさまが生み出したの!?て、天才…。

☑️空を飛ぶ

☑️夏っぽい青い空

☑️運命的な出会い

☑️成長物語

☑️退廃的で和洋折衷の不思議な世界

☑️謎の美形キャラ

はい、完璧!ボーイミーツガールの舞台として、項目満たしてる!

千尋の気づきを、空を飛んでいるシーンに持ってきたのも天才だし、腐れ神事件で竜=川の神の姿だという伏線を張るのも天才だし。

名前を取り戻したハクが、守れるかわからない約束するシーンも切ないし、神話の定番「振り返ってはいけない」儀式を持ってくるのもさすがだし、不思議な冒険は夢だったのかと思いきや、きらりと髪飾りが光る最後のカットも素晴らしいし。

パヤオ、ありがとう。

不思議な世界への入り口は、いつもさりげない

ナルニア国物語』のワードローブにしても、『ハリーポッター』の9と3/4番線にしても、『千と千尋の神隠し』のトンネルにしても、現実と

ファンタジーの世界の境目はいつも、すぐそばにあって曖昧

それが、名作ファンタジー冒険物語の醍醐味だと思っている。

朽ちた祠に沿って道を辿ると、不思議な建物とトンネルが待ち受けているの、完璧な設定すぎる。

"えんがちょ"を入れるセンス

他の人なら省きそうなシーンをあえて入れる。これはすごいセンスだと思う。

千と千尋の神隠し』は、ギャグパートとシリアスパートの塩梅が心地よい。

ベストコンディションの宮﨑駿が作品を作ると、こうなるのか。

センス極まれりなシーンが、千尋が腹の虫を踏んだときの"えんがちょ"

("番台"を知らない千尋が、なぜ絶対に世代の違う"えんがちょ"を知っているのか)はさておき

虫なのって、「腹の虫が治らない」の虫をキャラクター化たってコト…?

べちゃっとした何かを踏んづけてしまったときの「うぇ〜」という気持ちは世界共通で、イギリスの観客もEw!と悲鳴が聞こえておりました。

まとめ

こんなに長くなると思っていなかったけど、観終わってすぐに吐き出したい感想はとりあえず書き留めました。

有栖川自身が、こんなに作品愛があったことに驚いています。

もう一回観に行きたいなぁ。

フランス公演も観たいなぁ。

パリジャンたちの反応気になるじゃん。

なぜイギリス人が、サマータイムになると浮かれて太陽を追いかけるのか、わかってしまった

ごきげんよう。謎解き部 UK支部の、有栖川リドルです。
みなさん、今日も謎を解いていますか?

 

イギリスで暮らすからこそ「外でワイワイできる季節」のありがたみに気づきました。

春から初夏にかけて、イギリスのウキウキ感は、ものすごい。

ディズニーの入場待ちしてる時のような、スターウォーズで「遠い昔、はるか彼方の銀河系で……」が表示された時のような気持ちなんです。

イギリスの天気のデフォルト

イギリスの天気といえば、何を思い浮かべますか?

はい、そうです。雨です。雨。

それか曇天。たいてい空の色はグレー。

そんなデフォルトが「どんより」な国で、青い空、美しい日差しが見える日があったら、人々はどうなるでしょうか?

はい、そうです。サングラスをかけ、腹を出し、外をうろつきます。

男性は半裸になり、女性はノースリーブになりがち。

イギリス人はひまわりと同じ

イギリスで語学学校に通っていたことがあるのですが、その時、講師が言っていました。

「イギリス人はヒマワリみたいなもんだから。」「いつも太陽を追い求めて、冬はスペインとかギリシャとか暖かいとこに逃げる。」

その時はただ笑っていただけでしたが、今はほんとそれと相槌を打ちたい。

ホリデーシーズンになると、大量のイギリス人たちが「あったかい離島」へ旅に出る。

休みはどこ行くの?と聞くと「なんとかアイランド」と返ってくることが多々ある。

気温が20度を超えると、夏が始まった!と大騒ぎする。

そんな彼らを、横目で見ているだけだった有栖川も、イギリスで数回冬を越すと、彼らと同じように浮かる始末です。すぐ「ピクニック行こうよ」って言いがち。

サマータイムの偉大さ

3月最後の日曜日。そこからサマータイムが始まります。

「へー、日本との時差が9時間から8時間になるのか」ぐらいにしか思っていなかった。

しかし、夕方4時に真っ暗になってしまう、暗く寒いヨーロッパの冬を乗り越えたあとでは、「うおおおおおおおサマータイムだああ!夜9時まで明るいぞ!仕事終わった後も、なんでもできるううう」とハイになってしまいます。

外が明るければ、仕事でヘロヘロになっていても、なんでもできる気になるんですよね。

5月あたりから8月まで、とにかくイギリス全土で夏のイベントが開催されます。

音楽フェスティバルはもちろん、フラワーショーや、BBQ・・・。

夏待ちきれないな〜〜〜〜。(これを書いている時点で、まだダウンコートを着ています。5月なのに)

8月半ばを過ぎると、もう秋の肌寒さを感じるくらい、秒で駆け抜けてしまうイギリスの夏。

美しいイギリスの夏を、人生で一度は経験してほしい

暗く長い冬。どんより曇り空で雨ばかり降るイギリス。

しかし、イギリスの夏はとにかく美しい。

雨はぱったり降らなくなり、人々は華やかな色や柄の服をまとい、花や木々が輝いている。

湿度はなく、サマーニットを着ていても、汗ばむことがない。

日本から家族や友人が来たとき、イギリスの夏をたっぷり満喫していってくれました。

あの夏の無敵さを体感したら、またイギリスを訪れたくなったと言っていた。

太陽が出ていれば、とりあえずピクニック

代々木公園のようなだだっ広い公園が、ロンドン各地に点在しているのですが、天気が良い日は、どこもピクニックをする人で賑わっています。

有栖川は、このヨーロッパのピクニック文化が最高だなと思っていて、ただ芝生に寝転がっておしゃべりしてるだけで、何時間でも過ごせるんですよね。

友達と「今日天気いいからピクニック行かない?」とメッセージを送り合い、シート、本、サングラス、飲み物とおやつを持って、きれいな公園に行く。

その後は、近くのパブでビールを飲んで、つまみを食べて、まだ明るいけど解散、ができる。

太陽崇拝か?というぐらい日光に惹かれて、わーいい天気最高ーと純粋に季節を楽しむのです。

有栖川は、夢のピクニックがあります。

籠バスケットに食べ物やお皿を入れて、それを持っていくトラディショナルなピクニックをしたい。いつか叶えたいです。

 

「イマーシブ・シアター」「没入型演劇」ってなに?『桃太郎』でわかりやすく解説してみた。(イギリスの場合)

ごきげんよう、謎解き部UK支部の有栖川リドルです。

みなさん、今日も謎を解いていますか?

 

有栖川がイギリスに移住するきっかけを作った、『Sleep No More』という演劇があるのですが、これは「イマーシブ・シアター」と呼ばれるジャンルに属します。

イマーシブ・エクスペリエンスや没入型体験イベントと言われることも。

日本では、「イマーシブ・フォート東京」やSCRAPの「リアル脱出ゲーム」が代表的でしょうか。

世界と比べてまだまだ知名度は低いので、「イマーシブ」と言われても、どんなイベントか想像しにくいですよね。

今回は、有栖川なりにイマーシブなイベントの定義・説明をしたいと思います。

このジャンルの先駆けである『Sleep No More』のシステムについても解説してみます。

 

移住のきっかけについてはこちらの記事をご覧ください。

catharsism.hatenablog.com

イマーシブ・エクスペリエンス(没入型体験イベント)って何?

2024年3月に“完全没入体験”テーマパークを謳う『イマーシブ・フォート東京』がオープンしましたね。

“完全没入体験”はイマーシブ・エクスペリエンス、イマーシブ・シアターとも言われることがあります。

ほとんどの日本人にとって、「イマーシブ」という単語は聞き慣れないでしょう。

「イマーシブ」と言われても、どんなものかイメージが浮かばない。

アメリカ・ヨーロッパでは「イマーシブ・エクスペリエンス」といえば、説明せずともピンとくる人が増えてきて、それだけトレンドになっているのだと実感できます。

ですが、日本ではまだまだメジャーではないため、概念が浸透していない。

『イマーシブ・フォート東京』の運営会社(刀社グループ)は、「イマーシブ・エクスペリエンス」を分かりやすく宣伝するために、さぞ苦労したのではないでしょうか。

 

有栖川が「イマーシブ・エクスペリエンス」を説明するなら……

まるでVRゲームのようだが、しかし特別な機器は使うことない。

観客はキャストの一人であるかのように、物語の世界を歩き、キャラクターたちと冒険できる。

と言うでしょうか。

 

とにかくイベントにおいて、観客がその世界にimmerse(没入)することが大事なのです。

※有栖川の過去記事で、ひたすら説明したものを引用。

イマーシブ・シアター(没入型演劇)って何?

有栖川は、Punchdrunk(イギリスの運営会社)主催のイマーシブ・シアターしか体験していないので、それを基にお話しします。

ふつう劇を観るなら、キャストは舞台上にいて、観客は座席から舞台を眺めますよね。

ですがイマーシブ・シアターは、鑑賞方法から違います。

舞台セットの中に観客も足を踏み入れ、それぞれのキャストの後を追い、キャラクターの行動を目撃することで、全体のストーリーを理解していくのです。

「目の前にいる、この人物は誰なのか」

「自分がいま見ているのは、どのキャラクターに沿った話なのか」

「この事件が起きたとき、他のキャラクターは何をしていたのか」

観客は、終始ヒントを拾いながら謎解きのように、ストーリーの全体像を想像していくことになります。

つまりどういうことだってばよ?

と思った方は、次の章を見てください。

イマーシブ・シアターの観劇システムを『桃太郎』で説明してみる

「もしイマーシブ・シアター"Punchdrunk"が、『桃太郎』を上演したら」という体で、独特な観劇システムを解説します。

設定

登場人物:桃太郎・おじいさん・おばあさん・猿・雉・犬・鬼。

観客:あなたと友人Aがいるとします。

ストーリーの流れ:始点「おじいさんたちが桃を拾う」から終点「鬼ヶ島で鬼を退治した」まで。始点から終点まで約1時間の上演であり、これを1セットとする。観客は、最大3セット観ることができる。

ステージ:ビル全体がステージになっている。B1Fから2Fまである。ただし、観客はビルの入り口しか知らされていません。

各階に、舞台セットが組まれています。

B1F→猿・雉・犬の暮らす村(サブステージ)

1F→鬼ヶ島(メインステージ)

2F→桃太郎の故郷(サブステージ)

ルール

この演劇に、言語はありません。キャストは終始無言。身体表現で演じます。

観客は、上演中はずっと白い仮面をつけること。

観客は、上演中は喋ってはいけない。

観客は、キャストの妨げになる行動をしてはいけない。

観客は、立ち入りを許可された舞台セットを自由に歩き回り、小道具を触って調べることができる。

観客は、キャストの後を追いかけて、ストーリーを辿ることができる。(時には走って追いかけることも)

観客は最大3セット、上演を鑑賞することができる。予約時間が1セット目からであれば、1セット目が終わった後、2セット目、3セット目にも参加できる。(あなたの体力次第で)

上演開始

案内人に連れられ、怪しいビルへ足を踏み入れた、あなたと友人A。ここからステージは始まるので、すでに舞台セットの中にいることになります。

しかし、友人Aは案内人に連れて行かれ、どこかに消えてしまいました。

あなたは、村と思しき舞台セットの中に、放り込まれます。

あなたが混乱する中、どこからともなくキャストが現れます。

どうやら村で暮らす老夫婦のようです。

おじいさんの方は、これから仕事をしに山へ向かうらしい。

おばあさんは川の方に向かおうとしているようです。

さあ、ここで分岐発生。

あなたはどちらのキャラクターを追いかけますか?

おじいさんを選んだ場合、山のセットへ一緒に向かうことになります。おじいさんが仕事をする様子を見ることができるでしょう。

おばあさんを選んだ場合、川のセットへ一緒に向かい、桃を拾うシーン(メインストーリー)を目撃することになるでしょう。

あなたの直感と好みで、後を追うキャストを選びましょう!

『桃太郎』を例にしているので、どのキャストが誰役か、誰について行けばメインストーリーがわかるのか、お見通しですよね。

だが、本物のイマーシブ・シアターは、そう上手くはいかない。

キャストは突然走り出し、キャストしか通れない扉に消えていってしまうことがある。(時には友人Aのように、キャストが観客も巻きこみ、消えることがある)

あなたが追いかけていたキャストが消えてしまったら、新しくキャストを見つけて、その人を追いかけるしかありません。

一方その頃・・・友人Aは、島の舞台セットの中に放り込まれていた。

友人Aは「ここはどこで、何のストーリーが進行しているのか」と混乱しています。周囲の様子から、予想するしかありません。

どうやら島の中にある、集落みたいだなあ。つまり、ここは鬼ヶ島ってコト!?

鬼役のキャストが現れ、島での日常を演じ始めます。

このサブイベントを目撃したことで、友人Aは「鬼ヶ島は穏やかでいいところだな」と思うかもしれません。いずれ退治されてしまう鬼たちにも、穏やかな日常があったんだと知ることになるでしょう。

 

さて、時間軸について話しましょう。

ストーリーは、始点から終点まで進行するだけ。

ただ、キャラクターの数だけストーリーがあり、それが同じ時間軸で進んでいく。

あなたが、「おばあさんが桃を拾う」のを観ているころ、友人Aは「鬼たちの日常風景」を観ているわけです。

通常の演劇では起こり得ないことが、ここで起きていますよね。

同じ時間軸の中、登場する全キャラクターが、それぞれの物語を演じていく。

描かれないはずの物語を、あなたは目撃できる。

「場面転換」の演出は不要。観客自身で、観たいシーンを選ぶのです。

 

ストーリーは、いよいよクライマックスの「鬼ヶ島決戦編」に差しかかります。

すると、全キャラクターが鬼ヶ島というメインステージに集結します。

あなたと友人Aもキャストの導きで、メインステージに誘われました。

(おじいさん・おばあさんは鬼ヶ島に行かないはずですが、Punchdrunkのイマーシブ・シアターの性質上、キャスト&観客を一カ所に集める必要がある)

観客は「全員が一カ所に集められている」とわかることで、クライマックス(鬼退治)のシーンが始まると察知できるわけです。

桃太郎が鬼を退治し終えると、BGMの盛り上がりも最高潮になる。

その音楽が合図となり、キャストたちは徐々に姿を消します。

これで観客は、1セットの上演が終わったと察することができます。

しばらくすると、キャストたちがいつの間に現れ、演技をし始めます。

これが2セット目の始まりです。

2セット目も、各キャストは時間軸に沿って同じ行動をします。

メインのストーリーを見逃してしまった観客は、主人公を探して追いかけるという選択ができる。

上演の回数を重ねるごとに、観客は取りこぼしてしまったストーリーの詳細を、集めることができるのです。

観客を物語へ誘う、イマーシブな舞台セット

ディズニーランドに足を踏み入れるとワクワクするのも、ハリーポッターのスタジオツアーで興奮するのも、好きな作品の世界に自分が入れるからなんですよね。

お化け屋敷が怖いのは、セットで雰囲気が作られているからだし、脱出ゲームもコンセプトのある部屋に閉じ込められるから、雰囲気に入り込めるわけで。

”没入”を売りにするイマーシブ・シアターも、当然、舞台セットがかなり重要と考えているようです。

予算をかけた豪華なセット

映画のセットを想像してみてください。

予算をたっぷりとかけ「街を丸ごと作ってみた!」みたいなこと、ハリウッドがよくやりますよね。

イマーシブ・シアターも、そのノリです。

室内に入ったと思ったのに、木が生えている。誰かのお屋敷が建っていた。街が眼前に広がる。

そういうノリです。夢を見ているのか?と思うくらいの豪華さ。

Punchdrunkの場合、怪しげでホラーのような雰囲気を出すために、すべての舞台セットが薄暗い。足元がおぼつかなくなる、ギリ手前の明るさです。

観客が小道具を触れる

イマーシブ・シアターにおいて、観客はモブキャラとして舞台セットに立てるわけですから、そこらじゅうの小道具に触れることができます。

書斎の椅子に座って、引き出しを開けたり、登場人物が書いた手紙を読んだり。

お店に飾ってある商品を手に取ったり、パーティーで社交ダンスを楽しむキャストと一緒に踊ったり。

観客も見事に、舞台セットの一部へと埋没していく。

言葉のない役者、顔のない観客

Punchdrunkを語る上で、欠かすことのできない上演ギミックについて紹介します。

どんな天才がこのシステムを発明したんでしょうか。

ノン・バーバルの無言な劇

有栖川は、演劇とは当然セリフがあるものだ、と思っていました。

そんな固定概念を吹っ飛ばしてくれたのが、Punchdrunkです。

Punchdrunkの"Sleep No More"は、ニューヨークのセレブリティの間で話題になり、やがて観光客にまで知れ渡るようになりました。

世界中から集客できる理由は、言語のない劇だから。英語がわからなくても大丈夫。

じっと静かにできごとを観察すれば、鑑賞できます。

では、役者はセリフなしでどうやって演技するのでしょうか?

役者という身体表現者たち

集められた役者は、むしろダンサーに近い、身体表現のスペシャリストたちです。

パルクールみたいなアクロバティックな動きができる人もいます。

役者は無言で、そのキャラクターを演じます。お墓に花を添えたり、手紙を読んで酒を飲んだくれたり。

投げやりな所作なのか、嘆いているのは恋慕からなのか。

役者の微細な表情や動きをじっくりと鑑賞できます。

どうやって観客は、そんなディテールを観ることができるのでしょうか?

仮面をかぶった不気味な観客たち

観客は、オペラ座の怪人よりも奇妙な、白い仮面をつけます。

そして、役者の真横や目の前に立って、演技を観察することができるのです。

先生に生徒がわからない問題を質問しにいく、あの距離感で。

たくさんの仮面が、ひとりの人間をじっと取り囲む様子は、かなり不気味。

それがより、Punchdrunkらしい怪しい世界を演出します。

観客は仮面をつける。無言の劇だからこそ、かなりクレバーなアイディアです。

役者も観客も、どっちがどっちか一瞬で判別できる。

役者が仮面をつければ、容易に観客に紛れられる。

同時多発のストーリー

Punchdrunkの運営システムがすごすぎるという話です。

同じ時間軸で各キャラクターにはそれぞれのストーリーがあるから、それを一斉に上演しちゃえ!!って、だいぶ思い切ったことをしてくれる。

10人キャラクターが登場する群像劇があったら、10種類の脚本を作る。

必ず1時間で上演が終わるように構成し、全キャラクターが終演時にはメインステージに集まるようにプロットを作る。

各キャラクターは1時間の行動が決まっており、決められた通りに各舞台セットを移動し演技する。この移動ルートが複雑で、観客は入れない隠し扉から出入りしている。

BGMが時間の経過の合図になっており、多分、この曲の時にはポイントAにいなくてはいけないという指示になっているのだと思う。

いわゆる黒子スタッフは、観客が通れるルートを細かく調整している。この時間はこの舞台セットを封鎖する、この時間は扉を開放するから通り抜けられる、といったように。

総合芸術としてレベルが高すぎる・・・!!!!!!!

まとめ

結局、Punchdrunkへのラブレターみたいになってしまった。

いかに彼らの作品が素晴らしいか、語りたいことがたくさんありすぎて、文字量が多くなってしまいました。

2024年もPunchdrunkの新作を見に行く予定なので、楽しみです。

次はどんな世界を見せてくれるのだろう。

コンビニから老舗店まで、手軽に和菓子が買える日本っていいな。(イギリスでも餡子が食べたい)

ごきげんよう。謎解き部UK支部の有栖川リドルです。

みなさん、今日も謎を解いていますか?

 

今週のお題「あんこ」は、イギリスにいるとなかなか手に入らない日本の食べ物です。

日本を離れて気づく、日本の良さはたくさんありますが、餡子もそれ。

日本にいればコンビニでもスーパーでも、それなりに美味しい餡子いりの和菓子が買えるんですよね。

こだわるなら、老舗和菓子店やデパートに行けばいい。

下町あたりなら、たい焼きなど、できたてを街中で買うことができる。

ヨーロッパの激甘な洋菓子には飽きたよ〜〜〜というときに、ほんのり甘い和菓子を食べたくなることがあります。

餡子の好みが、あなたのプロフィールになる

日本で生まれ育った人にとって、「あんこ」は「味噌」「だし」に並ぶ、人となりを構成する一部の食べ物だな、と思います。

こし餡・つぶ餡の好みや、うぐいす餡・白餡などの種類の好みが、その人のルーツを表すようでおもしろい。

有栖川は、直接の出身地ではないのですが、東北にシンパシーを感じています。

宮沢賢治の文章の、湿度というか温度感がしっくりくるし、彼がイーハトーブの風景を「イギリス海岸」と名付けたのも、イギリスに住む今つながりを感じる。

有栖川は、一時帰国した際に絶対に食べると決めている餡子があります。

それは東北でおなじみのずんだ餡。

特に喜久福の「ずんだ生クリーム」は欠かせません。

大人買いして、心ゆくまで食べるのが至福。

www.livit.jregroup.ne.jp

餡子にも「おいしい」と「まずい」がある?

畠中恵の『しゃばけ』シリーズを読んでいて、「まずい餡子という概念が存在するの!?」と衝撃を受けたことがある。(主人公の親友が、なんともまずい和菓子を作る天才なのだ。)

前述したように、コンビニやスーパーで和菓子を買ったとしても、それなりのクオリティだから、特に「まずい」と思ったことはない。

(そりゃ「とらやの羊羹」と比べてしまったら、とらやはとても美味しいなあ、とは思いますが。)

現代にもまずい餡子はどこかに存在しているのでしょうか。

そもそもまずい餡子とは?

甘みが足りなくて豆ペーストなだけということ?

有栖川は幸い、美味しい和菓子と餡子にしか出会ってこなかったので、まだ見ぬ「まずい餡子」への想像が広がります。

この餡子・和菓子が食べたいリスト

有栖川が今恋しい、日本のお菓子たち……

  • とらやの羊羹
  • 冷やし抹茶ぜんざい
  • 浅草梅園のあわぜんざい
  • 浪花家総本店のたい焼き
  • ところてん
  • くずきり
  • 生菓子
  • 水羊羹
  • 水まんじゅう
  • 梅シロップのかき氷
  • 福岡の白餡のいちご大福
  • かりんとう

はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜、食べたい。

私が海外移住を決めた理由のひとつ。イギリス(ロンドン)の演劇トレンド・完全没入型"イマーシブ・シアター"について

ごきげんよう、謎解き部UK支部の有栖川リドルです。

みなさん、今日も謎を解いていますか?

 

今回は、有栖川がなぜ海外移住を決めたのかについてお話したいと思います。

イギリスのロンドンでなくてはいけない理由があったんです。

(もちろん海外移住は大きな決断なので、これだけが理由ではありませんが)

 

謎解き部UK支部を勝手に名乗るくらい、謎解きが好きな有栖川。

とある謎解きのようなイベントをニューヨークで体験し、その発祥の地・イギリスに惹かれることになるのであったーー。

イマーシブ・シアター(没入型演劇)ってなに?

2024年3月に“完全没入体験”テーマパークを謳う『イマーシブ・フォート東京』がオープンしましたね。

“完全没入体験”はイマーシブ・エクスペリエンス、イマーシブ・シアターとも言われることがあります。

ほとんどの日本人にとって、「イマーシブ」という単語は聞き慣れないでしょう。

「イマーシブ」と言われても、どんなものかイメージが浮かばない。

アメリカ・ヨーロッパでは「イマーシブ・エクスペリエンス」といえば、説明せずともピンとくる人が増えてきて、それだけトレンドになっているのだと実感できます。

ですが、日本ではまだまだメジャーではないため、概念が浸透していない。

『イマーシブ・フォート東京』の運営会社(刀社グループ)は、「イマーシブ・エクスペリエンス」を分かりやすく宣伝するために、さぞ苦労したのではないでしょうか。

 

有栖川が「イマーシブ・エクスペリエンス」を説明するなら……

まるでVRゲームのようだが、しかし特別な機器は使うことない。

観客はキャストの一人であるかのように、物語の世界を歩き、キャラクターたちと冒険できる。

と言うでしょうか。

 

とにかくイベントにおいて、観客がその世界にimmerse(没入)することが大事なのです。

きっかけ①2014年NYC:イマーシブ・シアター初体験“Sleep No More”と出会う

2014年。日本にイマーシブ・シアター常設施設が上陸するより10年早く、有栖川は体験していました。(自慢)

まだ日本人はほとんど参加していない頃だったので、思わずマウントを取りたくなってしまう。(2011年からこのイベントに参加していた、有栖川の旧友のおかげです。)

ニューヨークの旧ホテルで、何やら怪しく面白いイベントをやっているらしい

有栖川がニューヨーク旅行を計画していた2014年。

旧友がこう言った。

「ニューヨークに行くのなら、“Sleep No More”を観るといい」

「観客は仮面をつけて、声を出してはいけない。ただ静かに、物語の“目撃者”になるんだ」

「古いホテルを一棟まるごと使い、すべての廊下や部屋が舞台になっている」

「登場人物それぞれに物語があり、すべてのキャラが同時進行で違う動きをする」

「気になったキャラを走って追いかけ、何が起きているかストーリーを辿る必要がある」

youtu.be

没入型劇場”Sleep No More”とは

シェイクスピアマクベスをベースにした、ノワール風の演劇。

劇の舞台は、建物一棟まるごと。

いや、スケールが違うわ。

詳しくは別の記事で書きます。

有栖川、発祥の地・ロンドンに気づいてしまう

あまりにも新体験で、面白くて、少し不気味で、アートで。

感動した有栖川は、すぐに「この天才企画を考えたのはだれだ!?」と運営会社Punchdrunkについて調べることにしました。

へー!本社はイギリス・ロンドンにあるんだ。そういえば、演劇の本場はイギリスというイメージある。

他にも公演やっていないのかな。今はニューヨークだけなのか。

過去にはロンドンで違う公演をやっていたのか。見たかった!

新公演がリリースされないか、定期的にチェックしよう。

 

2014年の”Sleep No More”以降、定期的にPunchdrunkの新公演を探していた有栖川。

待望の新作は出たものの、ロンドン公演のみであり、旅行のタイミングが合わなかった。

せっかく新作が出たのに、逃してしまった無念を抱えたまま日本で暮らしていました。

面白いイベントがリリースされても、そのたびに旅行することは難しいよな。

日本には絶対に来ないし、自分が赴くしかないのに……。

好きな海外のミュージシャンだって、日本公演なかなか来ないし。

日本ってマーケットの対象外なんだなぁ。悲しい。

じゃあ、自分がイギリスに住むのが手っ取り早い。←イマココ

 

世界のトレンドが日本に上陸するのはいつも遅い。

ならば一番新しくホットなエンタメを享受できるよう、本場の現地に住むのがタイムラグがない!

と天啓が。

そこから、あれよあれよと、イギリスが有栖川を呼んでいるとしか思えない偶然が重なり、こうしてロンドンで暮らしています。

きっかけ②ベネディクト・カンバーバッチSherlock公式脱出ゲーム

有栖川はジェレミーシャーロック・ホームズを見て育ったのですが、現代版シャーロックと聞いて見ないわけにはいきません。

当時はリアルタイムでドラマを追っていました。

そんな折、シャーロックの脱出ゲームをイギリス・ロンドンで開催すると耳にします。

またロンドンか!!!!!!!!

……そうだロンドン行こう。後悔のない人生を送りたい。

というわけで、2019年1月にロンドンへ旅行がてら脱出ゲームに行ってきました。

これもまた別の記事で詳しく書きますね。

youtu.be

きっかけ③映画の世界を歩きまわり、上映も楽しむ”Secret Cinema”

イマーシブというすごいジャンルがあると2014年に学んだ有栖川。

あらゆるイマーシブ・イベントを英語で検索します。

そんな時に見つけた”Secret Cinema”という名前。

映画好きにヒットするタイトル。

映画の世界に、物理的に入り込めるんでしょ。絶対面白いじゃん。

公演は、またイギリス・ロンドンかい。

なんなの、イギリス。面白いエンタメばかり生み出すけど、すごない?

絶対に参加してやる!!ということで2019年8月に、再びイギリスへの旅行を計画しました。

その時の話は、また別の記事で書きます。

youtu.be

すべての道はロンドンに通ず

有栖川の人生。何かを追いかけていくと、いつも辿り着くのはイギリスでした。

こうしてまとめてみると、エンタメ摂取することへの執念が、自分でも若干怖いのですが、後悔はしていません。

多方面にオタクでよかった〜!

エンタメは生き物みたいなもので、いつまでも永遠にあるとは限らないので、「絶対に経験したい!」と魂が震えたら、体験すべきなんだなと思っています。

その自己投資が、自分の糧になって、楽しい生活を送れている有栖川なのであった。おしまい。